万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2023/02/05


 保険料を贈与して米ドル建て終身保険へ加入する場合に、検討すべきポイントを教えてください。




 3年前に父が亡くなったとき、母(現在70歳)は預金約1億円と賃貸アパート(相続税評価額2億円)を相続しました。以後、母は二次相続の税負担を心配して、母の相続人となる私と妹に毎年100万円ずつ預金を贈与しています。先日、母が「贈与に有効な生命保険の活用方法がある。預金にしておくよりもよい」と銀行から生命保険の提案を受け、私と妹で検討することになりました。先に亡くなった父は、私と妹を受取人に指定して父が保険料を払う形で契約していました。

 父が契約していた形態とどのような違いがあるのか、また、今回銀行から提案されている内容について検討のポイントを教えてください。

【銀行からの提案プラン(保険料贈与プラン)】
  • 保険種類:米ドル建て終身保険
  • 契約者・保険料負担者:私、妹(それぞれ同じ契約1件ずつ)
  • 被保険者:母
  • 死亡保険金受取人:契約者
  • 保険金額:100,000$
  • 保険料:年払8,600$(払込期間 10年)




 お父様が契約されていた生命保険は、支払われる死亡保険金がみなし相続財産と扱われるため、相続税の対象となります。他方、今回銀行から提案されている保険料贈与プランについて支払われる死亡保険金は、受贈者の所得税の対象(一時所得)となります。
 今回銀行から提案されている内容についての検討のポイントは、詳細解説をご確認ください。


1.お父様が契約されていた生命保険

 お父様のように自らが契約者(保険料負担者)となる生命保険契約では、支払われる死亡保険金はみなし相続財産と扱われ、他の財産と合算して相続税の対象になります。
 また、受取人が相続人であれば、相続税の計算上、一定の非課税枠が適用できます。

2.保険料贈与プラン

 保険料贈与プランにおける契約者(保険料負担者)は受贈者です。お母様が亡くなったときに支払われる死亡保険金は、受贈者の所得税(一時所得)の対象として扱われます。

 一時所得は以下の計算方法で算出します。課税が発生する場合は、課税対象額を他の所得と合算して税金を計算します。

【一時所得の計算方法】
一時所得:総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)
課税対象額:上記計算結果に対して1/2を乗じた額

 保険料贈与プランは、贈与によりすでにお母様の財産から切り離された子の資金を保険料に充てた契約であるため、受け取る死亡保険金はお母様の相続財産や相続税の計算に影響を及ぼしません。一般的に被相続人の相続財産が多額で相続税が高く、相続人の所得が低いなど、それぞれに適用される税率の差が大きいほど保険料贈与プランの効果が出やすいと考えられます。

3.今回のプランでの検討ポイント
  • 想定されるお母様の相続財産全体と税率
  • 子2人(相談者様と妹様)の所得、税率
  • 納税資金の準備状況
  • 為替変動リスク許容度
  • 払込期間中にお母様からの贈与が途絶える可能性

 銀行からの提案プラン(保険料贈与プラン)は米ドル建てであり、相続発生時の為替レートは予測不能です。そのため、支払保険料累計と死亡保険金を円で計算すると、死亡保険金が支払保険料累計を下回る可能性があります。米ドルで受け取ることもできますが、この保険を納税資金に充てる場合は円に交換する必要があります。為替変動に左右されるため、結果的に税金面の効果も期待したほど出ないかもしれません。上記のポイントをおさえて、専門家に相談しながら判断されることをお勧めします。

 相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。


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