今回は相談事例を通じて、後見制度の概要についてご紹介します。
最近、母の認知能力が少しずつ低下しているようで、財産の管理が心配です。
財産を安心して管理できる方法として、後見制度があると聞きました。後見制度とはどのような制度なのでしょうか?
後見制度は、認知症などの病気やケガにより、判断能力が低下した方を支える制度です。後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。
法定後見とは、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所が本人の判断能力に応じて後見人や保佐人、補助人を選任し、本人を法的に保護する制度です。
後見人には、本人の親族や弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家が選ばれます。なお、後見人は家庭裁判所が選任するため、親族を後見人の候補者として申し立てたとしても、そのまま親族が選任されるとは限りません。
任意後見とは、本人の判断能力が十分なうちに将来の後見人を自分で選び、財産管理の方法や支援内容をあらかじめ決めておける制度です。本人と任意後見人になってほしい人との間で任意後見契約を結ぶことで利用できます。
任意後見人には、親族や友人がなることもできますし、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。契約後、本人の判断能力が低下したとき、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。任意後見監督人が選任されると、あらかじめ決めていた人が任意後見人として、任意後見監督人のもとで本人の支援を開始します。自分で後見人や任せたい範囲を選択できることが大きな特徴です。
なお、任意後見契約は公正証書で作成します(すでに本人に判断能力がない状態であれば、契約は無効となるので、任意後見契約公正証書の作成はできません)。
本人の判断能力の状況や家族の希望により、適切な後見制度の選択や準備方法は異なります。判断能力が低下した後では、任意後見を利用することはできません。そのため、判断能力が十分なうちに、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
なお、2026年4月時点では、法定後見制度の見直しに関する法律案が閣議決定されており、後見・保佐の制度を廃止し補助に一本化したうえで、必要な支援内容に応じて補助人に個別に権限を付与する仕組みが予定されています。また、これまで後見制度は、本人の判断能力が回復しない限り原則として終了しませんでしたが、改正案では、利用の必要がなくなった場合には終了できる制度へと見直される方向で検討が進められています。
今後の制度動向によっては大きく内容が変わる可能性があるため、この点も踏まえ、専門家への相談を検討するとよいでしょう。
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